【CREATORS FILE】tamariba & VLウィーさんに聞く、タイのファッションとアーティストのこと。

■「本当にファッションに興味を持ってる人は自由な洋服を着ています」
*Sorry this article is Japanese only.

タイに関するあらゆることを調べているときに、偶然出会ったサイトが tamariba だった。tamaribaは、タイに住むウィー(VEE)さんと、日本に住むHaruna Nishiokaさんが共同で運営するオンラインショップ。ウィーさんのブランド「VL」や、タイの他のファッションデザイナーによるグッズ、あらゆる作家のグッズなどが販売されている。tamaribaのサイトを見つけたとき、ワクワクした。こんなに面白くて素敵なデザインのグッズたちが、タイと日本でインディペンデントに発信されている。どうしてもtamaribaを運営するお二人とお話したくなり、まずはタイで暮らすウィーさんにたくさんの質問を送ってみた。タイでも日本でも活躍するウィーさんへ、手紙のようなメールインタビュー。ますますタイが恋しくなった。


tamariba
タイや日本の個性的なアーティストの作品や、 ファッションアイテム、タイ雑貨などを販売するオンラインショップ。取扱ブランドのひとつ「VL」のデザイナー、ウィー(VEE)さんと、同じくデザイナーのHaruna Nishiokaさんの、女性二人によって立ち上げられ運営されている。
VL
ウィー(VEE)さんがデザインするファッションブランド。「relax&charming」がコンセプト。着心地がよくて新鮮さもあってチャーミングな洋服を気軽に着てほしい、という想いでつくっている。


──まず、ウィーさんご自身のことについて聞かせて下さい。ウィーさんはどういったきっかけでファッションデザインを始められたんでしょうか?

私は元々小さい頃からお洋服に興味がありましたので小物の手作りとかはしていましたけど、当時ファッションデザイナーになろうとは思っていませんでした。なんか日常生活に自然とお洋服関係のことがあったんです。母は刺繍や縫製がとても上手で、私は小さい時からそれを見ていましたし、大きくなってからモデルの仕事もしていました。本当は、小1くらいから「画家になりたいな」と思っていて、大きくなってからもずっと絵を描くことが好きだったんです。この数年、ペインティングの個展もやってます。年に1~2回のペースでやっています。

>>>protected ©Hiroka Limviphuvadh (2011)
http://web.mac.com/hiroka_v/site/painting.html

神戸に留学した時(大学院)は、テキスタイルデザイン(染織)を選択しました。テキスタイルデザインは一番(絵を描く)キャンバスに近いと思いました。しかもテキスタイルは洋服やいろんな商品に変わるし身近な分野だと思いました。日本に留学している時は大きいタペストリーを作っていました。

>>>the temple of godsIV ©Hiroka Limviphuvadh (2006)
http://web.mac.com/hiroka_v/site/textile.html

でも趣味でいろんなイベントがある度にTシャツやバッグ等も作って売ってました。自分でシルクスクリーンしたり染めたり。それが結構うまくいってて、当時アルバイトもほとんどやらなくても大丈夫だったんです。だから帰国後、オンラインショップtamaribaと共に自分のブランド「VL」もスタートしようと考えました。でもその時は、作品を作る時間が欲しいから、自分が一番自然でやっていける安定した仕事をできたらいいなと思って始めたものだったのです。それがどんどん、お客さんが自分の洋服を着て喜んでるのを見て、もっともっといいお洋服をつくりたくなっていって、気がついたらもう5年近く続いて、どんどん本格的になっています。

──tamaribaはウィーさんとHaruna Nishiokaさんが一緒に運営されているオンラインショップですが、tamaribaを立ち上げられたきっかけについて教えて下さい。

話が戻りますけど、留学している時に作っていた商品をタイに帰国しても続けて日本で売りたいと思って、西岡さんを誘いました。オンラインショップは一番リスクが少なくやっていけると思いました。当時西岡さんは北野坂のトリトンカフェで働いていました。私はそこによく遊びに行ったり個展をやらせてもらったりしてたところなので西岡さんと仲が良かったんです。そして帰国する直前になんかピンと来て、西岡さんを誘いました。西岡さんとはとても気が合うので、帰国後一緒にお仕事できたらこれからもずっといい関係を保つことができるんじゃないかと思いました。そうしたら西岡さんものってくれて、その後バンコクに来てくれて、一緒に tamariba の立ち上げ作業をしました。彼女が日本に帰国後、2007年の1月1日、日本の正月と共に tamariba をオープンしました。私はバンコクで彼女は神戸なんですが、二人パソコンの前でカウントダウンしてました。とてもいい思い出です。

■「フレンドリーということは、着心地がいいこととつながっています。」

──ウィーさんのブランド「VL」の商品について教えて下さい。VLのコンセプトは"Relax & Charming"とのことですが、確かにVLの商品は気軽に選べて気軽に身につけることができそうなアイテムが多いと思いました。日本でもタイでも、大都市でも自然の中でも、場所を選ばず着ることができると思うし、それでもしっかり「かわいらしさ」があるアイテムが多いですよね。いつもデザインされるときに特に気をつけていることはありますか?

そうですね。VLはかわいいだけじゃなく、自由で気軽に着れるフレンドリーな商品だと思います。「フレンドリー」ということは、着心地がいいこととつながっています。VLはtamaribaで販売することからスタートしました。オンラインショップはお客さんが実際手で触って見れないので商品が手元に届いた時や洋服を着た時に期待以上だったらいいなと思って作っています。そして、なるべく無駄なことを避けたり、ためになったらいいなというアイデアが常にありますので、身につけやすいけど新しいシルエット、新しい素材の組み合わせ、機能がある商品をデザインしています。
例えばこちらの商品は、ぱっと見たらアシンメトリーのショートブラウスみたいなんですけど、マスクのような機能もあります。「マスクを忘れた日も便利です!」っていう風に、風邪に感染しやすい方や花粉症の方を思って作った商品なんです。


今年の夏、VLのニューラインの "vl's Gumgum" も発表しました。神戸グッゲンハイム邸でファッションショーを、スペイスモスで展示会を行ないました。(その時は日本のブランドRepeat after me!と一緒に開催しました。)"vl's Gumgum" は古着をリメイクをした一点ものを作ります。古着のそれぞれの魅力をキープしつつ新しい物を生まれ変わらせるのがガムガムです。ガムガムは通常のVLより凝っているので、実物をお客さんに見てもらえるように、これから展示会で発表したいと思っています。

>>>7月に行なわれた神戸グッゲンハイム邸でのファッションショーより
tops : vl's Gumgum / dress : vl's Gumgum / accessories : VL

ファッションショーや展示会の風景。(写真の下に洋服のブランドの記載があります。)
VL & Repeat after me! "Let's Candy!" fashion show 2011/07/03
"Let's Candy!" exhibition 2011/07/09〜10

──現在tamaribaで取り扱っているそれぞれのブランドについて、簡単に紹介してもらえますか?

tamariba の参加アーティストやデザイナーは、まず、周りのクリエーターのお友達をちょこちょこ誘っていくことから始まりました。有名だから誘ったとかじゃなくて、日本人に受け入れられそうなものをセレクトしてます。ジャンルが違ってもそれぞれフィーリングは近いと思います。こういう本を読む人は、こんな音楽を聞いいて、こんなお洋服を着て、こんな雑貨も好むんじゃないかとイメージングしながらセレクトしてます。それは結局自分の好みで選んでしまってるとこもありますけどね(笑)。だからそれがとても有名なアーティストだったり、一人でこつこつ制作していてたまたま見つけたデザイナーもいます。それぞれ日本人のお客さんにとって変わりなく「新しい」ですからね。ジャンルは様々で、ファッションブランド、タイインディーズレーベル、出版社、漫画家、イラストレーターのグッズ、人形作家、など、結構幅が広いです。日本のデザイナーも何人かいます。そのなかの一部を紹介します。


*Wisut Ponnimit / ウィスット・ポンニミット(タムくん)
http://soimusic.com/wisut/
タイ人の漫画家で日本でも知られていると思います。

*Typhoon Books http://www.typhoonbooks.com/
タイフーンブックスは、タイでタムくんの本を出版している会社で、プラープダー・ユンさんの会社です。プラープダーさんは東南アジア文学賞(S.E.A write awards)を受賞した、とても有名な作家・脚本家(浅野忠信さんが出演した『インビジブル・ウェーブ』や『地球で最後のふたり』等 )・グラフィックデザイナー・ペインター・作曲家・などなど、とても多才な方です。日本で何回か個展を開催されていたので、ご存知の方も多いんじゃないかと思います。

*M.L. Chiratorn Chirapravati http://www.gubgang.com/
イラストレーターのチラトーンさんは、タイで一番尊敬されてるイラストレーターだと思います。教室もやっていて、数々の有名なイラストレーターを生み出しています。

*Nualtong / ヌアントーン http://tamaribathai.com/?mode=cate&cbid=814965&csid=1
ヌアントーンはアクセサリーのデザイナーで、実は tamariba でしかアクセサリーのデザインをやっていません。タイではファッション系のイラストレーターとして活躍しています。韓国やシンガポールのルイ・ヴィトンのブティックのオープニングで似顔絵ライブをやったり、タイのshu uemuraのパッケージのイラストを描いたりしています。

*Panda Records
パンダレコードは、もう10年以上続いてるタイのインディーズレーベルです。若者にかなりインスピレーションを与えてると思います。音楽は様々でとても面白いんです。STYLISH NONSENSEのポックくんやジューンくん、Bear-gardenのジューンちゃんが3人で運営してるレーベルです。私はパンダレコードが始まった時からずっと好きで聴いているんですけど、その時から今まで彼らは本当に音楽を愛していて今までコンスタントに続けていることが素敵だと思います。

その他のアーティストについても、tamaribaのトップページのアーティストプロフィールにもっと詳しく書いてますのでご覧になってくださいね。


──ウィーさんから見て、今のバンコクの若者のファッションの好みや傾向はどういったものでしょう?日本だと、ファッション雑誌が「この夏に流行のファッション」などと大きく特集して、流行をつくることが多いと思います。タイにも流行ってありますか?流行があるのであれば、どういったきっかけでそのファッションが流行するのでしょうか?日本のようにファッション雑誌が流行をつくっているのでしょうか?

最近タイの一般の人は韓国アイドルのファッションに影響されていると思います。あと、タイの女優はセクシーな人が多いのでそれをマネして、スタイルがきれいに見えるシルエット、ボディコンや大人っぽいセクシースタイルがずっと流行ってると思います。多分タイは季節がない国だから、「この季節これが流行!」とは言わないですね。だから雑誌はあんまり影響がないと思います。流行をつくっているのは、雑誌よりテレビだと思います。タイ一般の人のファッションはTVドラマから影響されているんじゃないですかね。でもタイ人は人それぞれスタンダードが違うところがあります。結構幅が広くていろんなタイプな人がいますので、もちろん雑誌から影響されている人も一部いるかと思います。そして、季節の切り替えがないから日本と違ってインパクトがあるものがタイ人にウケやすいと思います。カラーもビビッドなカラーだったり。でも一部、本当にファッションに興味を持ってる人は、もっと自由な洋服を着ています。タイデザイナーもそれぞれ独特なテイストを持っています。それぞれのブランドによって個性が見えますのでドメスティックブランドは面白くて生き生きしてると思います。

──タイでも韓国アイドルが人気なんですね!あとタイの一般の人の多くは、TVドラマに影響されているんですね。どういう韓国アイドルか、どういうタイTVドラマか、教えてもらえますか?

すいません!具体的になんというユニットか私はまったく分からないですが、韓国のアイドルがいろんなコマーシャルにでたり、よくライブしにタイに来ています。あと私全然タイのドラマ見ていないので、これもまったく分からないですが、おそらく、ドラマに出ている人気な女優が着ている物が流行ります。実際ドラマの中で着ているものじゃなくて、その女優が身につけているものが流行ります。例えば、チョンプー(ニックネームがChompoo, 本名はAraya) が着ている服は、すぐ一般のタイ人のあいだで流行りますね。

──日本では、個人の小さなブランドの服よりも、大きな会社がデザインして作った服を買う人が多いです。そのほうが安いというのが圧倒的な理由だと思います。タイでは、個人ブランドと大きなアパレル会社とで、値段の差はどれくらいでしょうか?また、今のタイの若者にとって、個人ブランドと大きなアパレル会社、どちらが人気だと思いますか?

タイは、路上で売っている洋服がとてもいっぱいあって安いので、それが一番若者の中で人気だと思います。そういうお店は、ブランドものをコピーして質を落として安い価格で売っています。だから皆は新しいデザインで今流行のものをすぐ買うことができます。プラチナムファッションモールも、ファッション好きな若者に人気です。ここはサイアムスクエアのいろんなお店に卸しています。とても安く買えます。大きなアパレル会社で、ベーシックな商品を作っているところで安いところもあります。ブランド物で大きい会社で、値段が高めなとこもありますが、バンコクはやっぱりいろんな場所で路上でお洋服を売ってるので、そっちのほうがカスタマーとの距離が近いと思いますね。
Wikipedia, サイアム・スクエア, (optional description here) (as of Sept. 8, 2011, 12:04 GMT).

──そうなんですか!例えば日本で同じようにブランドもののコピーをして売れば、裁判になったり、法律で罰せられると思うのですが、タイではまだそういった法律やルールが厳しくないんでしょうか?確かに、サイアムの大きなショッピングセンターでも、違法コピーDVDとかソフトとか沢山売られていますし、洋服に関しても同じような具合なんでしょうか?

洋服はいくらでも微妙にデザインを変えることができますから、ブランド物と全く同じではないので、逮捕はされませんね。法律で、そういうコピーの物を販売してはいけないとなってますが、タイにはまだまだいっぱいありますね。多分そういう路上のお店や屋台は、タイの経済を回しているので、そんなに厳しく取り締まることができないかと思います。これから少しずつ厳しくなる可能性はあると思いますけど。

ドメスティックブランドでずっと人気が続いてるところも結構あります。”greyhound(グレイハウンド)”は30年以上続いてるとてもいいブランドだと思います。昔はTシャツしか作ってなかったのですが、今はとても大きくなっています。カフェも出店しています。センスがよくてディレクションがいいんです。”wwa” も小さいブランドだけど、長年続いていてファンもかなり多いと思います。私も大学生の時から好きです。

■「意識」が一番大切

──tamaribaのサイトを見たときにも思ったのですが、タイには独特な文化があると思います。「ブンミおじさんの森」を見たときも、タムくんのイラストや漫画を見たときも、タイのDesktop Errorというバンドの曲を聴いたときも、タイ出身のアーティストがつくるものには、何か、切ないような、言葉にできないような、なんとも言えない不思議な感覚があります。人間の心の中には、言葉に表せない部分があって、タイの人たちはその部分をすごく大切にしているような気がします。日本のことにも詳しいウィーさんにぜひお聞きしたいのですが、タイの人たちが持っているそういう独特の感覚は、いったいどこから来ていると思いますか?難しい質問でごめんなさい!

これは多分タイ人のライフスタイル、環境、気温、等等、から自然に出てきてると思います。タイ人も日本人のカルチャーを見て、とても独特なものを感じてるのに間違いないです。切ないんですかね。。tamariba を見てもそれを感じたんですか?多分アーティストによって、育った環境や経験が違うので表現の仕方も違っていくと思います。あとオーディエンスの経験によって見るところや、感じるものも、変わっていくと思います。たとえば山本さんが切なく感じる作品を私がみたら楽しく見えるかもしれませんね!

──確かにtamaribaを見て、切ないような気持ちにはなりませんが(笑)、ブンミおじさんも、タムくんも、タイのインディーズバンドも、tamaribaもみんな、自然に身をまかせて、かっこつけない感じがいいなと思います。タイのいろんなクリエイターの作品を見て感じるのは、マイペースで、自然体で、優しい感じですね。どんなオーディエンスでも受け入れてくれる感じがします。確かにやっぱり、気温、環境が影響しているんでしょうね!日本とは気温も天気も全然違いますし。あと、タイの男の子達はみんな一度はお寺に修行に行くと聞いたことがあります。タイではサイアムあたりにいる若い子だって、みんなちゃんとお寺にお祈りとかに行きますよね。日本は仏教徒が多い国ですが、タイの人たちほど、いつも仏教を身近に感じていないと思います。どうでしょう?仏教の教えがタイの人たちの作品にも影響を与えていると思いますか?

それは影響してると思います。タイの学校は、小学校から仏教の授業があります。瞑想やお経を覚えるということを、その時からやっています。授業以外でも、毎朝8時に皆で国歌を歌って、その後長いお経を皆で唱えます。授業の内容はブッダの歴史や仏教の教えを習いますので、自然にそれが身についていると思います。例えば仏教では、生き物の命を奪っちゃいけないと言いますね。だから蚊やアリを殺さないタイ人も多いと思います。日本ではちょっとあり得ないですよね。私もなるべく小さい生き物でも殺さないようにしてます。あと、「意識」が一番大切といいます。何やっても無意識な状態にならないように、常に自分を見ている様にしています。仏教に関してはとても長い話になりますので、とりあえずこんな感じにしましょうか!

──ありがとうございます!「意識」。素晴らしいですね。ヨガに似ている気がします。私自身ますますタイに興味が出てきました!最後に、ウィーさんのこれからの活動予定、tamaribaの活動予定などありましたらぜひ教えて下さい!



9月22〜25日、東京青山にあるユトレヒトのギャラリーNOW IDeAでVLの展示販売会をやります!展示期間中に、ワークショップやタムくんの似顔絵屋さんもやります。是非遊びにきてくださいね!
VL&vl’s Gumgum 展示販売会 「WELCOME TO VL'S HAPPY CLOSET!」
年末にはバンコクでペインティングの展覧会をやる予定です。こちらはまだ日程が決まっていませんので、またお知らせしますね!



VEE(ウィー)
タイネーム:Vachiraporn Limviphuvadh
(ワチラポーン・リムビプーワッド)
Hiroka Limviphuvadh(ヒロカ・リムビプーワッド)
http://www.vlbyvee.com

 profile...
日本人の母とタイ人の父をもつ。バンコク在住。学生時代からモデルや翻訳の仕事を始める。日本留学中にデザインや染織を学ぶ。現在は、タイと日本のクリエイターのアイテムを扱うオンラインショップ「tamariba」を運営しながら、デザインや作品制作を行い、タイと日本で活動をしている。


interviewed by 山本佳奈子(Kanako Yamamoto)
*2011年8月後半〜9月初旬にメールインタビュー