台北ミニレポートpart1:失聲祭Lacking Sound Festivalとは?

デジタルメディアやサウンドを使用した双方向アートに注目が集まる台北

>>>1月6日、2012年最初の失聲祭が行なわれた。
photo from 失聲祭's set "Listen 55" on flickr



1月5日、アルバイトを午前中で切り上げて、関西国際空港に向かい、ジェットスターアジアで台北に向かった。この時期の台北は年間で一番寒いらしい。失聲祭オーガナイザーの一人である台北出身・在住のサウンドアーティストYAO, Chung-Hanは、「カナコ、今は台北すごく寒いから気をつけて」と。しかし私たち日本人からすると、台北の冬はとても過ごしやすい気温。日本の11月上旬と同じぐらいだろうか。ダウンジャケットがなくても過ごせる。ただ、台湾の冬は毎日のように雨が降り続く。まるで日本の梅雨だ。湿度が高い。

昨今台北では、デジタルデバイスやインタラクティブな手法を取り入れたメディアアートが勢いづいている。2012年を迎えたばかりのこの1月、この分野のイベントは目白押しだ。私が把握している台北でのイベントは以下の4つ。

2012年1月1日〜2月19日 / 關渡美術館 (Kuandu Museum of Fine Arts)
『TRANS JOURNEY Future Media Festival(超旅程-2012未來媒體藝術節)』
http://2012fmf.cat.tnua.edu.tw/

1月6日 / 南海藝廊 (Nanhai gallery) ※終了しました
失聲祭 (Lacking Sound Festival)
http://lsf-taiwan.blogspot.com/

1月7日〜3月4日 / 鳳甲美術館 (HONG-GAH MUSEUM)
『視覺昡暈 Visual Vertigo—New Works by Six Taiwanese Media Artists』
http://www.hong-gah.org.tw/

1月11日 / 臺北當代藝術館 (MOCA Taipei) ※終了しました。
『Noise × Beat 音波相乘』
http://01.fnstw.com/

私が参加できたのは失聲祭とTRANS JOURNEY。まずはpart1として、失聲祭のミニレポートをお届けする。

>>>失聲祭55回目のフライヤー。紙での配布はなくweb上のイメージファイルのみ。

1月31日UPLINK FACTORYでのイベント、
シリーズ・映像でめぐるアジア
“台湾のサウンドアートイベント『失聲祭』を見る” meets 住み開き! で紹介する失聲祭。
昨年春にアジアを旅していた時、香港のifvaという映像祭でたまたまYAO, Chung-Han (姚仲涵) のパフォーマンスを見た。視覚と聴覚に強烈な刺激を受けた。


LLSP at LSF44 from YAO on Vimeo.
>>>会場のサイズもまったく違ったので、同じものではないが、参考までに。
LLSP(Laser, Lamps, Sound Performance) / YAO, Chung-Han

そのあと、YAO, Chung-Hanとtwitterを介して話すと、なんと彼は自身の作品制作やアーティストとしての活動だけ行なっているのではなく、『失聲祭』というイベントのオーガナイズもしているということ。私は非常に興味を持ち、2011年5月の失聲祭に足を運んだ。

>>>会場はMRT中正記念堂駅近くの南海藝廊。

失聲祭とは、毎月1回、台北市の南海藝廊というギャラリーで開催されるサウンドアートを軸としたイベント。毎回2組によるサウンドアートのパフォーマンスが行なわれ、最後には必ずアーティストトークが設けられている。もちろん、オーディエンスからも質問があがる。すでに4年間も続くこのイベントは、YAO, Chung-Hanら、アーティストによって立ち上げられたという。日本でのこういったフィールドでは、表現・創作について、言語を用いて熟考する機会が少ない。失聲祭では質問が飛び交う。ときには、ノートにメモを取る若いオーディエンスもいる。

ちなみに今回1月6日に行なわれた失聲祭は、若手のWU, Ping Sheng (吳秉聖) のパフォーマンス、そしてWU, Ping ShengとDawang Yingfan Huang (黃大旺) によるパフォーマンス。

>>>WU, Ping Shengが用いる楽器はなんとドライヤー。
photo from 失聲祭's set "Listen 55" on flickr


>>>Dawang Yingfan Huangの機材。

>>>サウンドチェック風景。
photo from 失聲祭's set "Listen 55" on flickr

Dawangさんは5年ほど日本に住んでいた経験があり、日本語も堪能。日本のノイズ〜サウンドアートシーンも熟知されている。「大阪新世界のブリッジはなくなっちゃって残念でしたね。あそこはローラーコースターが見える場所で……」なんて話が飛び出すくらい。驚いた。

YAO, Chung-Hanの司会で進められるアーティストトークは、今回も有意義な時間だった。お互いを熟知していないアーティスト2人が一緒にパフォーマンスを行なうこと。また2人それぞれの過去〜現在の思考の変化などについてトークが行なわれた。実は、パフォーマンスとアーティストトークとの間に5分間ほどの休憩があるのだが、オーディエンスは誰もパフォーマンスが終わったからといって帰らない。台北のオーディエンスたちにとって、失聲祭はアーティストトークの最後まで参加してこそ失聲祭なのだ。

>>>左から WU, Ping Sheng / Dawang Yingfan Huang / YAO, Chung Han
photo from 失聲祭's set "Listen 55" on flickr



今回のパフォーマンスは身体や視覚表現よりも、音に焦点が絞られたパフォーマンスだった。日本ではノイズというフィールドにくくられるのかもしれない。
音を使うアート、すなわちサウンドアートに対して、ノイズ、電子音響、環境音などと分け隔てることなく、すべての表現方法をいったん言語という形にアウトプットして熟考させてくれるのが、失聲祭。

創作するということは?
表現するということは?
アートについて、考える。考えたことを、人に伝えるために言葉にする。
失聲祭が生んだこのサイクルは、台北の近年のインタラクティブアートの発展に確実に影響を与えているのではないだろうか。

失聲祭についてはさらに1月31日 UPLINK FACTORYでさらに詳しくレポート&紹介。台湾のYAO, Chung-HanとSkype中継も行ないます。
ゲストには、YAO, Chung-Hangと同じくアートやクリエイティブに関わる分野であらゆる活動をされている、日常編集家・アサダワタルさんをお迎えします。

詳細は
UPLINK FACTORYページ
Facebookページ
Offshore特設ページ
などをご覧下さい!


text by : 山本佳奈子(Kanako YAMAMOTO)