アジアでライブをする方法:実践編ー完全にノンフィクションの場合

2012年8月4日、完全にノンフィクションは台北でライブを行なった。今回の記事ではそれにまつわる裏側を含めて、彼らが台北でライブを行なうに至った経緯を報告。






完全にノンフィクション別所氏から見た今回の台湾ライブのレポートは彼のブログを。
http://blog.livedoor.jp/sap_official/archives/67650026.html

■背景
Offshoreのロゴデザインを手がけたY氏は某音楽レーベルにてA&Rとして、様々な音楽イベントのスタッフとして勤務している。ある日、Y氏とOffshore山本が大阪の某飲み屋にて飲んでいるときにY氏からこんな話が出る。

「今ちょっと手伝ってるバンド、『完全にノンフィクション』ってバンドが海外、アジアでライブしたいみたいやねんけどなんかできそう?」

山本「アンダーグラウンドなところで良いなら、ハコのブッキングとかは私の伝手でなんとかなると思いますけど、日本ほど整備されていないところで機材トラブルやオーガナイズの手際の悪さとかに大きく構えていられるかどうか。あと音と人ですかね。私も自分が興味ない音ならやりにくいし。」

しばらくののち、完全にノンフィクションの音源を聴く。

山本「Yさん、この音なら期待以上。やりましょう。いい意味で日本っぽいし。」


■完全にノンフィクション、別所氏との初回打ち合わせにて
Offshore山本からパターンを説明。
航空券をいかに安く取るか、時期、メンバーのスケジュール調整、現地のハコのスケジュールそれぞれ同時進行しながら調整しないといけない。山本自身が仲の良い音楽界隈の人間がいる地域、いない地域も説明。

■最近の諸地域の傾向
台湾→日本インディー業界を模倣する傾向にあるので、私自身あまり興味がわかず調べきれていない。
ただ、地下社會など、アンダーグラウンドなことをやっている小さなハコはあることはある。こういった場所なら直接ブッキング取ったとしても面白くなりそう。
香港→ライブハウスと呼べるハコはHidden Agenda1軒のみ。山本が仲の良い界隈の人間がいるハコなので、安心してライブできるはず。
上海/北京→インディーバンド多いので面白いと思う。ただ、中国大陸は人によっては疲れやストレスがたまることも多いので、初海外ライブの場所には向かないかもしれない。

最初は数都市での公演も視野に入れていたとのことだが、航空券の概算を提示し、1カ所のみでの公演に絞ることに決定。

■ポイント
・希望するハコ、日程などはすべて保険として第2希望が必要。
・LCCなどの航空券は概ね出発日より3ヶ月以前に取ると安い。

バンドのスケジュールにより、8月前半の土曜に1本ライブを入れることに。
また、初回としては一番トラブルも少ないであろう台湾にてライブを行ない、その経験を経たのち、他の地域・国へも挑戦しようと話す。


■せっかく、自主レーベルの『完全にノンフィクション』と完全自主発行の『Offshore』がやるのだから、インディペンデントな方法でやりましょう。
コマーシャルなライブハウスじゃなくて、規模が小さくても、アンダーグラウンドカルチャーが生まれるローカルのライブハウスで。

8月4日(土)に目星をつけ、現地オーガナイザー、ライブハウス、諸バンドにOffshore山本より連絡。少し難航しつつも地下社會ブッキング担当のChosenより連絡が来て、8/4希望通りの日程でフィックス。

出発からちょうど3ヶ月前、5/2にJETSTARの関空ー台北往復の最安航空券を確保。

■台湾と言えば有効な告知手段はfacebook。完全にノンフィクションのfacebookページを作成。
http://www.facebook.com/kanzenninonfiction

■現地で何をするか?
・撮影ーバンド記録・映像特典用
・観光ー観光している様子も映像におさめられる
・チラシを作る?ー現地でまったく知名度がないので、少しでも多くのお客さんに来てもらうため


■7月初旬、地下社會Chosenからメール
「地下社會は、消防法のチェックが通らなかったため、7/14でいったん閉店せざるを得なくなりました。今、代わりに8/4同じ日程でライブができる場所を探しています!」

Offshore山本から完全にノンフィクション別所氏へこの件を連絡
山本「まあ、アジアってこんな感じで、何があるかわからないんで。」

■約1週間後、Chosenから連絡。「PIPEという場所に決まりました」

■公演1週間前、現地で配布用のチラシ作成

■8月3日(金)、15:30頃、関西国際空港で待ち合わせ、台北へ。







無事ライブも終え8/5にメンバーは帰国。
ライブの客入り、音環境など、惜しかった点はいくつかあった。しかし、台湾のオーディエンスは、素直に完全にノンフィクションの音を聴いて、楽しんでくれていた。
言葉は伝わらずとも、彼らの音に対する熱は、ちゃんと伝わったんではないだろうかと思う。堅苦しい日本にはないノリや音楽の楽しみ方、また、外からやってきたものをすんなりと受け入れてくれる柔軟さを感じた。

と、以上がOffshore山本からのリポート。

以下に完全にノンフィクション別所氏への簡単な質問と回答を掲載する。
なお、後日Offshoreでは、完全にノンフィクションの初海外公演を別所氏の視点から聞くロングインタビューを敢行予定。

──台北でライブを終えて、日本に帰って、感想を一言で言うと?
別所:今回のツアーがこんなにも音楽人生において影響を受ける経験になるとは思ってもみなかった。日本での活動ばかり意識していて無意識に凝り固まっていた考え方が緩和されました。視野や見聞が広がったのはそうだし、創作して発信していく者として考え方が変わりました。

──ライブをやっていて、日本と台湾、どこが一番違うと思った?
別所:台湾のオーディエンスはお客さんが楽しみにかかって来る。日本のようにフロアの後ろの方で腕組みして吟味するような習慣は皆無でした。好きか嫌いかうまいか下手か関係なく、もはやMCもいらないからどんどん曲をやって自分たちを踊らせてくれという空気を感じました。

──帰りのメンバーの間での話題は?
別所:Baの上野君とは空港へ向かうまでのバスの中で台湾と日本の違いについて話しました。オーディエンス性から最終的に国民性の話まで行き着くという。

──また海外でライブがしたいと思う?
別所:はい。すぐにでも。アジア圏は基よりもっと他の国にもアピールしたい。


後のロングインタビューはこちら。
Offshore: 海外初ライブを終えた完全にノンフィクションの別所英和は何を感じたのか?