『解剖!台湾雑誌ビッグイシュー』会場レポート

毎回Offshoreでイベントを開催したときはセルフレポートを掲載している。今回も録音していた音声データを起こしてセルフレポートを掲載する予定だったが、あの場にいた人たちは何を考えたのか気になり、できるだけ違ったフィールドで活動する人それぞれに依頼し、感想コメントをいただいた。ご協力頂いた皆様、謝謝!当日来れなかった方にとっては歯がゆいレポートになってしまうことは承知だが、それぞれの“気持ち”からなんとなく未来を見出せるような気がする。いつか始まるかもしれない個々それぞれのイノベーションの準備帳として、ここに置いておきたい。
当日出た固有名詞などのリンク集はこちらで。
イベントの概要はこちら。
冒頭にまずは私のコメントを記載する。それ以下、順不同。


イベントの翌日、通訳を担当してくれたリンリンさんとお茶を飲んだ。前日のイベントでの、印象的だった話をしていた。

特に私にとっては、台湾ビッグイシューのスタッフの平均年齢が26歳前後と若いこと、また、ほとんどのスタッフが女性であることが驚きだった。リンリンさんいわく、台湾では、ああいったクリエイティブなオフィスは30代以下の若い世代で構成されていることが多いとのこと。早くから最前線に立てる台湾をうらやましく思うとともに、日本とはマーケットや社会構成、すべてが違うということを再度認識する。しかし、台湾に限らず、日本以外のアジアの他のフィールドでは、女性の活躍が目立つ。自分が偏見を持っていたことを正直に言う。男性でないとああいった雑誌を作れないと思っていた。あれだけ硬派なコンテンツを扱う台湾ビッグイシューが、女性スタッフが中心になって作られているということに、驚いた。
日本の女性たちは、いつになったら「女子力」「モテ◯◯」などという性コンプレックスを脱する決意をするのだろうか。国際時事・社会問題はもとより、インターネットや映画、本、雑誌などにアンテナを張り巡らせ、自分たちの感覚を信じ、読者に伝えたいことを雑誌という形でアウトプットする彼女たち。台湾ビッグイシューの表紙を飾ったどの女優にも劣らず美しい。
また、編集長Finesさんが話に出した“Generation Y”に考えさせられた。インターネットを駆使できるGeneration Yという世代に当てはまる私は、中学卒業と同時にWindows98を手にし、同世代の中でもインターネット検索とインターネットコミュニティを活用することに長けていると自負している。私は、いかに前の世代と付き合って、いかに次の世代にリレーを繋げられるだろうか?
そしてやはり、台湾ビッグイシューを紐解いていく中で、日本では様々なことが「〇〇ってこうあるべきでしょう」といった既成概念で凝り固まっていると感じた。では、今回の経験を得て自分はどうするべきか。参加していただいた皆さんにも、今回の経験をどう自分に生かせるか考えてほしい。皆さんにはご理解いただいていると思うが、私は日本のビッグイシューと比較したくてこのイベントを企画し開催したわけではない。まずは自分自身を見直してほしい。自分の仕事、生き方、趣味、課外活動などへの参考にしてほしい。

IN/SECTS松村さんが最後におっしゃった「(台湾ビッグイシュー編集部のみんなは)インディー臭がしない」。この言葉には私も大きく頷いた。私はついついインディー臭を出しがちなので、そういった点を見習って、では私は具体的に何をしようと思ったのか。それをお伝えして私の感想を締めくくる。
■Offshoreにもっとユーモアを取り入れる。もっと柔らかくやる。
→Offshoreが目指していることは、日本社会に「オカシイ」と言うこと。
でも、それは「怒り」では絶対に伝わらない。ユーモアや親しみやすさがあってこそ、人に伝わるだろう。(だったらこの感想ももう少し柔らかく書いたほうがいいんだけど。)
■普段の一般市民としての生活を大切にする。
→私はアンダーグラウンドに籠り過ぎだ。
自分のアンテナを広く持つ方法として、例えば、
たまには友人宅に行ってテレビのお笑いを見て笑うとか、
(自宅にテレビがないので)
もう少し大衆的な音楽を聴いてみるとか
(ノイズや実験音楽ばかり聴いているので、たまにはFinesさんの好きなミスチルとか)
何もしない時間を大切にしてみるとか
(2012年はもう、記事アップしてイベントやって、と忙しすぎた。流行りの小説とか読んでみたい)
と、これ以上続くと私的な「やりたいことリスト」のようになってくるので、自分自身の気持ちが、ワクワクしたところで終わろうと思う。

Offshore主宰 山本佳奈子


今回のイベントで台湾のビックイシューの在り方や内容を垣間見れたことで、自分がこれまで台湾に対して抱いていた勝手で単純なイメージが違うというところの、より具体的な例として捉えられた気がしました。個人的に一番印象に残ったのが、ジェネレーションY。。。主に20~35歳の大学生や社会人で地下鉄を利用している人たちをターゲットに、完全に一つの情報誌としてそのY世代の感度の高い人達に向けて作っているというところに、柔軟性や自由度の高さを感じました。
そして、単なる情報誌ではないビックイシューのバックナンバーが、編集部からのアピールによってではなく、ショップ側から問い合わせがあってショップで販売されているというところに1つの答えが出ている気がしました。個人的には、それが委託なのか買い取りなのか、、そのやり取りはいかに?というぶっちゃけたトコもまたいつかの機会に知れたらいいなと思います。
あと、最後におかっぱの女の子がオススメしてた音楽がなんだったかメモ出来なかったので、ちょっと気になってます。。
何にせよ、かっこいいデザインに惹かれるように、台湾という国に対しての興味を抱かせて貰えたことが何よりの大きな収穫でした。

雑貨店店主



本題ではあまり触れられていなかったと思いますが、海外に比べて日本ではこれから若者が、今の大人に取って代わっていくという重大さへの関心に温度差を感じたということ。(だからと言って、僕は深く考えたことはありません。)
僕が漠然と感じていることは、大概のものが原点回帰するということ。
こんなことを前回のhidden agendaのときにも感じていました。
あとは楽しく生きて楽しく死にたいということ。

バンドマン


>>>スクリーンに映るのが台湾ビッグイシュー編集長Finesさん、会場側左よりIN/SECTS松村さん、Offshore山本、通訳担当林品佑さん。


今から1年半程前、参加しているデザイン系の雑誌制作活動で台北取材に行くことを決めた頃、台湾版ビッグイシューが格好いいらしい、デザイナーは台湾で若者に影響力絶大の気鋭グラフィックデザイナー、との情報をキャッチした。ちょうどその頃タイムリーに、今回のイベントのホストである山本さん主催のアジアカルチャーを紹介するイベントを拝聴する機会があり、そこで台湾版ビッグイシューの実物を手にして見ることができたのが自分と本誌との最初の出会いだった。元々抱いていたビッグイシューのイメージは、街中でホームレスの方が販売している欧米系雑誌の日本版で他国版もあるらしい、という程度。周りで購読している人間がいるわけでもなく、自分の中でメディアとしてマイナー感は否めなかった。イベントで実際台湾版を手にして見ると、中国語を読めないこともあり、「なんか格好いいよね、これなら手にしたくなるよね」と、要は見た目というか形から入った感じで興味を持ったというのが正直なところであった。その後デザイナーのAaronに会った際、彼のデザインの世界観やそのパーソナリティに魅了されながら、本誌のデザインを行うようになった経緯や臨むスタンスも聞くことができた。だからこそなのかそれ以来、こんな素敵なデザイナーを起用している台湾版ビッグイシューの編集意図というものにより関心が向いて行くようになり、今回編集部へのSkypeインタビューを含む今回のイベントは、自分にとって絶好の機会だった。Aaronをデザイナーに迎えている編集部に対しては、何となく上昇志向の高い尖った雰囲気を想像していたのだが、中継で拝見してみると、編集部のこじんまりした感じや編集長の何とも言えない人柄の良さに拍子抜けしてしまった。しかし、本誌の目標とするスタイルを穏やかながら熱く語る編集長の様子を目にすると、その柔和な台湾的なインディペンデントな空気感こそが、本誌が魅力あるコンテンツを毎号送りだしていることの表れであり、現地の感度の高い若者に指示されていることに繋がっているのだろうと感じた。台湾のカルチャーを理解する上で外せないメディアには違いない本誌を、一歩踏み込んで理解できて良かったと思う。今回はある意味プロローグ的な進行でもあったので、トピックや視点をある程度絞り、もっと切り込んで行くのもアリなのかも、と勝手に第二弾の開催を期待している最近。山本さん、いかがでしょうか?(笑)
デザイン大好き



肩ひじ張らずに自然体だったFinesさん。
彼らが、自由に、気の向くままにつくったかっこいい雑誌が、
これだけの人たちを魅了しているという事実に、励まされました。
それぞれの置かれている場で、それぞれが自身の創造性をいかせば、
もっと世界は住み心地のよい場所になるのかもしれないなぁーと、
帰り道思いました。

ふだん、細々雑誌づくりに携わる者より



昨年あたりから、個人的に雑誌が気になっていたので行ってみた。台湾については不勉強ゆえに「ポスト韓流の最右翼?」くらいにしか認識がなかったのだけど、熱心な支持者がたくさんいてびっくりした。
なるほど確かにオシャレでポップな台湾の一端を垣間見た気がした。昔の渋谷系的な何かを。やっぱりそういう文脈で受容されてるのだろうか、違うのだろうか。
もちろん本格的な議論をする場ではなかったと思うんだけど、日本と台湾の文化産業振興の在り方とか、『ビッグ・イシュー』というメディアの性質上避けられない「福祉」とポップカルチャーの関係とか、雑誌のあり方とか興味深い議題がいろいろと出て、非常に勉強になりました。
あとは、やっぱり会場に来てるお客さんの属性や意識がとても気になる。彼/彼女らは何を台湾に見ているんだろうかと。

社会学者



BIGISSUEが存在する大前提として、ホームレスの自立支援が挙げられるが、台湾版のBIGISSUEに感じた印象として、BIGISSUEを購読している、あるいは、関心がある=「ソフィスティケーテッドな人間である」というある種ブランディング的な構図を作り上げようと試みている印象を受けた。それは、著名なグラフィックデザイナーを起用し、意識レベルの高い購読者が読むに足りうるヴィジュアルデザインを提供していることにも繋がっているのではないだろうか。
美術作家