【SPACES FILE】北京で地下音楽が聴ける場所『School Bar(学校酒吧)』

北京で地下音楽を聴くならオススメしたい場所School Bar。

北京のアンダーグラウンド音楽を支えてきたライブハウス、D-22の閉店からもう2年ほど経ってしまったか。外壁はポスターだらけで、薄暗い店内の赤い壁にはそこから羽ばたいていった数々の中国バンドの写真が掲示してある。ジャンル問わず、ちょっとメインストリームから外れた音楽がほぼ毎夜鳴っていたD-22。しかし、そんなD-22閉店の感傷に浸らずとも、いくつかの小さなベニューが台頭し、北京の地下音楽はさらに前進しているらしい。その北京で重要なベニューの一つが、School Barこと学校酒吧。五道管胡同という通りに位置しており、地下鉄の安定門駅(2号線)、雍和宫駅(2号線/5号線)どちらからも歩いて5分ちょっと。雍和宫駅からだと、D出口を出てUターン、雍和宮大街を北に少し行くとCOSTA COFFEEがあるので、その角を左に曲がり、両側にカフェやバーの並ぶ通りをまっすぐ3分ほど歩くと右手に、四角いオレンジ色の電灯でSCHOOL BARと書かれたネオンサインがある。
SCHOOL BAR (学校酒吧)
http://weibo.com/schoolbar
http://site.douban.com/school/
住所:北京市东城区五道营胡同53号院


入り口に黒板で本日のプログラムが書かれている。

道幅の狭い道路の両脇にはカフェやバーがひしめきあう。


この日10月25日には、日本から坂田明氏、ピアニストのGiovanni Di Domenico(イタリア)、パーカッショニストのMathieu Calleja(フランス)がこの店にやってきた。21:30スタートのイベントで、私は21時過ぎに到着したが、すでに入り口付近は地元っ子で賑わっていた。エントランスで80元を支払い中へ。ライブが聴ける小さなパブ、ライブハウスのような空間。壁の赤色がD-22を思い出させる。2Fにはソファや椅子、テーブルが置いてあり、ちょっとライブを観ることに疲れたら、ここで友達と話すこともできる。逃げ場がある空間は、オーディエンスにとってうれしい。

2Fもゆったりと広いが、2Fからライブを観ることはできない。


開演予定時刻の21:30あたりに、今回外国から訪れた3人の音楽家にSchool Barを紹介したと言う、北京在住のノイズ音楽家Yan Junが現れる。「ここはD-22に似てるね」と言うと、Yan Jun並びにSchool Barのマネージャーは「そう?でもD-22よりもっと面白いよ。」と自信を持って笑みを浮かべながら言う。そして、日本人客も含み、お客さんが100人ほど入って混雑してきたところでライブがスタート。まずトップは、地元の音楽家で闫玉龙。ソロでアップライトピアノを演奏。次のセットでは、坂田明氏とGiovanniのデュオ。ステージ上で繰り広げられる2人の緊迫した会話のような演奏に、観ているこちら側も引き込まれ、ここが北京であることを忘れてしまう。他の地元オーディエンスもそうだったのだろうか。だんだん前のめりになり、真剣に音と2人の音楽家の動きに集中する観客も、確実にこのライブの要素のひとつとなっていた。


そして、地元北京のサックスプレイヤー李增辉とドラムMathieuによるデュオ。李增辉は、北京、いや、北京のみならず中国全土と香港で有名なインディーバンド、万能青年旅店のメンバーとのこと。先ほどの緊迫感がそのまま引き継がれるが、よりリズミックな掛け合いが繰り広げられる。私は、北京にフリージャズのプレイヤーがいることさえ知らなかったので、この李增辉のパワーのあるサックスにはかなり驚かされる。美しさよりも、音をどんどんMathieuに放り投げていくような、挑戦的なプレイ。そしてそれを見事に受け止めて行くMathieuの作り出す展開も面白い。しばらく経ったところで坂田氏も参加。トップにソロで演奏した闫玉龙は、電子音とエレクトリックバイオリンで参加し、最後にGiovanniも参加する。まったく国籍の違う5人のそれぞれの音が、くっきりと分かれて聴こえてくるが、全体の統一感もあり、絶妙なバランスが終始保たれた演奏だった。オーディエンス側に伝わる緊迫感が凄まじい。演奏が終了すると、一気に緊張が解けて全員が拍手喝采。その瞬間の会場の一体感は言葉には表せない。




そして、坂田氏にサインを求める観客が列を成し、また、音楽家や音楽に深く関わっていると思しき人たちが、SCHOOL BARのマネージャーらと共に、フロアで楽しそうに会話を交わしている。

ちなみにこのSCHOOL BAR、ビールは生ビールジョッキ(北京ビール)、Tiger小瓶が20元、他にも様々なドリンクがあり、特にこれが観たいというアーティストがいなくても、ちょっと北京のアンダーグラウンドを覗くために訪れるだけでも有意義な時間が過ごせるだろう。この日はフリージャズの演奏だったが、オルタナティブロックやパンク、エレクトロも、様々な音が毎週末に鳴っている。ライブスケジュールは当記事上部のURLからチェックできる。

そして翌日は、Yan Junのオーガナイズにより、別の場所でこの3人の音楽家のコンサートが開催された。こちらのレポートもまもなく更新。また、Yan Junへのインタビューも後日公開予定。